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生活援助従事者研修課程、59時間カリキュラムの全容。生活援助専門ホームヘルパーの養成課程。

公開日: : コラム

生活援助従事者研修が決定!生活援助専門ヘルパー誕生へ

この記事のまとめ

・生活援助中心型サービスの担い手として、生活援助従事者研修課程を創設
・研修課程は59時間のカリキュラム
・介護職員初任者研修(ホームヘルパー2級相当)と比較すると71時間少ないカリキュラム
・現場で指導・サポートするサービス提供責任者の役割は重大

生活援助中心型の担い手の拡大

平成30年の介護保険関連法改正・介護報酬改定では「介護の担い手の拡大」をひとつの大きな柱としており、
その中で「生活援助中心型の担い手の拡大」として、
訪問介護を行うための基礎資格である介護職員基礎研修(ホームヘルパー2級資格)カリキュラム以下の研修時間で
生活援助のサービスを提供できるようカリキュラムを策定するという決定がありました。

つまり、「生活援助専門ホームヘルパー」の養成を行うということです。

生活援助中心型の担い手の拡大

○ 訪問介護事業所における更なる人材確保の必要性を踏まえ、介護福祉士等は身体介護を中心に担うこととし、生活援助中心型については、人材の裾野を広げて担い手を確保しつつ、質を確保するため、現在の訪問介護員の要件である130時間以上の研修は求めないが、生活援助中心型のサービスに必要な知識等に対応した研修を修了した者が担うこととする。

○ このため、新たに生活援助中心型のサービスに従事する者に必要な知識等に対応した研修課程を創設することとする。その際、研修のカリキュラムについては、初任者研修のカリキュラムも参考に、観察の視点や認知症高齢者に関する知識の習得を重点とする。(カリキュラムの具体的な内容は今年度中に決定する予定)

○ また、訪問介護事業所ごとに訪問介護員を常勤換算方法で2.5以上置くこととされているが、上記の新しい研修修了者もこれに含めることとする。

○ この場合、生活援助中心型サービスは介護福祉士等が提供する場合と新研修修了者が提供する場合とが生じるが、両者の報酬は同様とする。
○ なお、この場合、訪問介護事業所には多様な人材が入ることとなるが、引き続き、利用者の状態等に応じて、身体介護、生活援助を総合的に提供していくこととする。

平成30年度介護報酬改定に関する審議報告より

平成30年介護保険関連法改正及び介護報酬改定についてはこちらをご覧ください。

どう変わる?訪問介護。平成30年介護報酬改定はホームヘルパーに何を望むのか?

生活援助の多様な担い手

生活援助従事者研修課程カリキュラムが決定。その内容は?

新研修のカリキュラムは初任者研修を参考に、研修時間を大幅削減

その「生活援助中心型サービスの担い手」についてですが、
研修は「生活援助従事者研修課程」という名称に決まりました。
ネーミングのセンスについてはともかく、この新研修過程の総研修時間は59時間となり、
具体的なカリキュラムも決まっています。
このカリキュラムについては、現行の訪問介護の基礎資格でもある介護職員初任者研修の130時間のカリキュラムを参考に、
大幅に研修時間を削減したものになっています。

生活援助についての勉強をする女性イラスト

生活援助従事者研修課程カリキュラム(59時間)

カリキュラムは以下のようになっています。

生活援助従事者研修課程について

職務の理解(2時間)
研修修了者が行う職務の範囲、および緊急時の対応について理解するために必要な内容を含めること。必要に応じて施設見学などの実習を活用すること。

尊厳の保持・自立支援(6時間)
介護職が、利用者の尊厳と自立を支える専門職であることを自覚し、介護・福祉サービスを提供するにあたっての基本的視点などを理解することを目的とすること。

介護の基本(4時間)
利用者の介護にあたり、介護職としての倫理、および生じるリスクを十分に理解したうえで介護を行うことの必要性を理解することを目的とすること。

介護・福祉サービスの理解と医療との連携(3時間)
介護保険制度や障害者福祉制度を担う一員として最低限知っておくべき制度の目標、サービス利用の流れ、および各専門職の役割と責務について、その概要を理解することを目的とすること。

コミュニケーション技術(6時間)
サービス提供の際に必要となる観察、記録、および報告を含めたチームでのコミュニケーションの方法を理解することを目的とすること。

老化と認知症の理解(9時間)
加齢・老化に伴う心身の変化、疾病、認知症などについての基本的な視点を理解することを目的とすること。

障害の理解(3時間)
障害の概念、国際生活機能分類、障害者福祉の基本的な考え方について理解することを目的とすること。

こころとからだのしくみと生活支援技術(24時間)
介護技術の根拠となる人体の構造、および機能に関する知識を習得し、安全な生活援助が中心である訪問介護の提供方法などを理解することを目的とするとともに、その習得状況を確認すること。

振り返り(2時間)
必要に応じて、施設の見学などの実習を活用すること。

※ 上記とは別に筆記試験による修了評価(30分程度)を行う。
※「こころとからだのしくみと生活支援技術」においては、移動・移乗に関連した実習を2時間実施する。

介護職員初任者研修と生活援助従事者研修の比較

以下の表に介護職員初任者研修と生活援助従事者研修の時間数の比較をまとめてみました。

項目介護職員初任者研修生活援助従事者研修
職務の理解6時間2時間
介護における尊厳の保持・自立支援9時間6時間
介護の基本6時間4時間
介護・福祉サービスの理解と医療の連携9時間3時間
介護におけるコミュニケーション技術6時間6時間
老化の理解6時間9時間
認知症の理解6時間
障害の理解3時間3時間
こころとからだのしくみと生活支援75時間24時間
講義の振り返り4時間2時間
合計130時間59時間

ご覧のように時間数でいえば介護職員初任者研修よりも71時間少ないカリキュラムになっています。
ただ、介護におけるコミュニケーションは介護職員初任者研修と同じ6時間。
老化・認知症・障害の理解については、合計して介護職員初任者研修が15時間に対して生活援助従事者研修では12時間と、
コミュニケーションや理解という部分についての研修時間をしっかり確保したという印象があります。

一番大きく違うのは「こころとからだのしくみと生活支援」の部分で、
介護職員初任者研修では75時間に対して生活援助従事者研修では24時間。
いずれももっともボリュームの大きな項目になっていますが、
介護職員初任者研修では移乗や移動、排泄介助といった基礎的介護技術についての指導・演習なども含まれていますので、
身体介護を行わない生活援助従事者研修ではこの部分を大幅に削減したということになります。

ただ、カリキュラム表の欄外に

「こころとからだのしくみと生活支援技術」においては、移動・移乗に関連した実習を2時間実施すること。

という一文があることから、緊急時などを想定した移動・異常などを行うための研修を2時間確保しているのでしょう。

移動・移乗の研修をするイラスト

ちなみに、
以前あったホームヘルパー3級の研修時間は50時間でしたので、
それよりも研修時間は長く設定されています。

生活援助従事者研修修了者のサポートを

いずれにしても、短い研修期間で現場に入ってくる生活援助従事者研修修了者。
現場で同行などを重ねながらOJT(オンジョブトレーニング)をしていく必要性はより高くなりますので、
指導・サポートをしていくサービス提供責任者や管理者等の役割という部分も非常に重要になってきます。

介護の「質」よりも「量」が圧倒的に不足している状況。
特に訪問介護の人材不足は深刻です。
身体介護をすることは自信がないけれど、生活援助のサービスだけだったらできるかも、
という人にとっては入りやすい入り口ができたと考えることもできると思います。
ターゲットとしてはこれから介護という仕事をライフワークにしていきたいという若者ではなく、
余裕のできた時間をボランティアではなく、いくらかの収入を得るために使いたいという年配の女性・前期高齢者などになっていくでしょう。

そもそもホームヘルパー3級課程を廃止するべきじゃなかったんじゃないかという思いもありますが・・・。

生活援助従事者研修でホームヘルプの担い手を拡大することはできるのでしょうか。

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