男性ヘルパーの憂鬱。男性ホームヘルパーの需要と活躍の場。
公開日: : コラム
男性ホームヘルパーの憂鬱
近年、介護の仕事につく男性が増えています。
不景気のため、就職難となり、
比較的新しい産業である介護に就労の機会を求めたためです。
政府などでも、製造業や建設業などは、
不景気の打撃を大きく受けて雇用を縮小しているので、
介護という産業がその代わりに雇用の受け皿になることを期待しているようです。
残念ながら、政府の思惑と外れたのは、
介護が製造業や建設業の人材とは
求めている人材像が大きくかけ離れていることと、
介護という産業が製造業や建設業とは
比べ物にならないほど規模の小さい産業であるということでしょうか。
何はともあれ、男性の求職者が急増した介護業界。
家事を中心とし、女性の仕事という印象の強かったホームヘルパーにも
男性が活躍の場を広げております。
そんな男性ヘルパーについての情報です。
男性ヘルパーと家事
男性ヘルパーには、業務上、
女性のヘルパーとは違った大きなハンディキャップがあります。
男性であるというだけで、受け入れられない。
なんでこんなに見下されるんだろう。
モロッコに行って性転換手術でも受けてしまいたい。
男性のホームヘルパー誰でも一度はそんな悩みにぶつかったりします(?)。
ヘルパーの仕事の大部分を占めているのが家事援助(複合介護を含む)です。
家事援助をしないで勤務時間を確保するのは、
夜勤専門の勤務体制にでもしない限り至難の技です。
男性ヘルパーにとって、家事援助はまさに鬼門です。
家事の仕事では、男性は受け入れられないことが多いです。
もちろん、男性で調理ができるのが前提としてあったとしても、
男性が料理を作るというのは・・・と敬遠されることがあります。
男性に料理を作ってもらったことなど一度もない、という女性のお客様もいるでしょうし、
男子厨房に入るべからず、の時代ですから。
あと、男の人に料理なんてできるのかしら、なんて言い出す方も。
逆に、男性の利用者様からも、
男のくせにこんな仕事してるんじゃない、なんて説教されることも。
まぁ、そういった先入観をいかに取り除いていくかが課題ですね。
男性であるというだけでマイナスイメージになっていることがあります。
それだけに、お客様からの印象には気を使いましょう。
できるだけ腰を低く、愛想よく、
若ければその若さを活かして「かわいい」と思われるようアピールしましょう。
生活と将来設計
収入ですが、正直あまり期待できません。
家庭があったり、ある程度の収入を確保しないといけない場合、
ヘルパーとして満足な生活ができるかというと、
正直、答え辛いものがあります。
なので、ホームヘルパーとして男性が働く場合、
明確な将来設計は不可欠です。
例えば、3年以上勤務して介護福祉士の資格を取って、
介護の仕事でもより待遇のよい職場を探すとか。
または、5年以上勤務してケアマネになるとか。
それと民間企業であればそこの管理職や正社員への登用を狙うか。
とりあえず興味があるから、という希望理由での就職は避けたほうがいいと思います。
男性ヘルパーの利点
なんだか暗くなりそうな話ばかりでごめんなさい。
ここからは男性ヘルパーの長所について。
ヘルパーが勤務する訪問介護事業所のスタッフは
そのほとんどが女性のスタッフです。
女性ばかりの職場でどんな問題が起こりうるかというと、
やはり人間関係のトラブルは容易に想像できます。
その点、男性は仕事と感情とをある程度割り切ることができるので、
職場での人間関係の潤滑油として期待されます。
コミュニケーション能力は、現場だけでなく職場内でも求められます。
現場でのケアに関しても、移乗や移動などの介助の際、
利用者様も男性が支えているということで頼りにされやすく、
スムーズにケアができることもあります。
力があるぶん、そういった場面でも安全にケアができますが、
力だけに頼ってしまうのは男性ヘルパーの悪い傾向としてあり、
結果として自分の腰などを痛めるケースが多くあります。
力に頼らず、ボディメカニクスと利用者様の動きを最大限に利用しましょう。
男性ヘルパーの存在価値を発揮する場
男性で介護職を希望するのであれば、
施設の職員などの方が生活も安定しますし、
同性介護を原則としている施設も多いので受け皿もあります。
在宅で働くとしたら、
訪問入浴介護の運転手(オペレーター)もあります。
車を走らせ、浴槽を担ぐガテン系の仕事ですが、
男性であるという存在価値をかなり発揮できます。
ヘルパーの資格を取って、介護タクシーで働く男性も多いです。
介護タクシーに関しては今後の単価等の改正により、
業界が縮小することも予想されますが、
タクシーという仕事自体、高齢者と接する機会の多いので、
タクシーをするなら介護の知識もあったほうがいいですよね。
また、同じ運転手でも施設の送迎バスの運転手などもあります。
ホームヘルパーの仕事に関しても、
男性のヘルパーでお願いします、という依頼も少なくありません。
力仕事だったりすることが多いのですが、需要はあります。
と、かなり特異な職業であることは理解していただけたかと思いますが、
やりがいだけは確実に保障できるのではないでしょうか。
このサイトにもたくさんの男性の方がいらっしゃっています。
職場内で肩身の狭い思いをしている方もいるとは思いますが、
男性ヘルパーという存在を社会的に認知してもらうには、
みなさんの今後の頑張りにかかっています。
平成14年 更新
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