訪問介護の自己負担が2割になる人、ならない人。
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最終更新日:2015/07/18 コラム
平成27年4月に行われた介護保険法の改正。
すでに新しい報酬単価が適応され、すでに日常生活自立支援総合事業などがスタートしている地域もあるかと思います。
今回の介護保険改正では、平成27年8月からの変更もいくつかあります。
これは、厚生労働省からのリーフレットなどでも周知されているかと思いますが、
利用者の自己負担についての変更になります。
大きく分けて、4つの変更があります。
・介護保険サービス利用者の自己負担割合が所得に応じて1割から2割に変更になる
・負担限度額の認定要件に、所得だけではなく貯蓄・資産も含まれる
・高額介護サービス費の負担上限の引き上げ
・特養の相部屋代の費用負担の変更
その中から、訪問介護に関して特に関係の大きな介護保険サービス利用時の自己負担割合の変更についてお知らせします。
訪問介護の料金が倍になる!?
これまで、介護保険サービスを利用した際に、利用者がサービス事業者に支払う自己負担というのは、
サービスの費用の1割分が原則となっていました(保険料未払いなどによる3割負担の場合を除く)。
この自己負担の割合が変更されます。
一定の条件にあった利用者は、自己負担割合が2割になります。
つまり、自己負担は単純計算でこれまでの2倍となります。
たとえば、一回ヘルパーを利用し、225円を支払っていたのが、450円に変更になるということです。
かなり大きな自己負担の変更です。
自己負担が2割になるのは
厚生労働省ではこのようなチャートで示しており、分かりやすいと思います。
市民税が課税されており、所得合計が160万円以上(年金収入で換算すると年収280万円相当)の方が対象となります。
該当する方でも、同一世帯に他に65歳以上の方がいる場合は、年収346万円未満の場合であれば、1割の自己負担となります。
この2割負担が適応される条件に合致するのは、高齢者全体のおよそ20%に該当すると言われています。
介護保険サービス利用者の中では、20%よりももっと対象になる方は少ないと思います。
自己負担割合証の配布
この負担割合の変更については、市町村等介護保険者から介護保険負担割合証という書類で通知されます。
これも自治体によって若干のデザインの違いや紙の色の違いはありますが、
被保険者の情報と、負担割合とその適応期間が記載されています。
この介護保険負担割合証に「2割」と記載されている方は自己負担割合が2割に変更になるということです。
発送が遅れている自治体もありますが、7月中には郵送で自宅に通知されるはずです。
サービスを提供する事業者は必ずこの負担割合の確認を行わなければいけません。
利用者から直接確認する、ケアマネを通して確認する、など、確実に確認できる方法を検討することが必要です。
訪問介護サービスはどうなる?
高額介護サービス費に該当する場合は自己負担の金額の軽減が得られますが、
それでも自己負担割合が変更される人の経済的な負担は増大します。
今回の改定により、特に自己負担の増える利用者からのサービスに対する目はより厳しくなることが予想されます。
介護保険サービスではなく、より制限の少ない家事代行業者や自費ヘルパーなどに変更をする方も少なくないでしょう。
丁寧な説明を行いながら、プロフェッショナルとして質の高いサービスを提供していくことが求められます。
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