「福祉」とは何か?
社会福祉概論第1回 「福祉」とは何か
ホームヘルパーのみなさまのためのサイト、「ホームヘルパー井戸端会議」。
ホームヘルプについて語ることはあっても、
「福祉」とは何かを語ることはなかなかありません。
介護福祉について体系的に勉強した経験がなかったり、
そういった学問的なことについて、あまり関心がなかったり。
介護職のキャリアパス見直しで初任者研修などが制度化されたからといって、福祉の本質的な部分について学びたいと思う人は少ないのではないでしょうか。
ということで、ホームヘルパーが福祉について考え、
「福祉論」を展開するということはあまりありません。
そこで、ちょっと今回はアカデミックに、「社会福祉概論」。
とはいいつつ、あくまで管理人の私見でお送りします。
「福祉」とは何か?
そもそも福祉とはなんでしょう。
あまり考えたことのない方もいるかもしれません。
「福祉」の語源
まずは「福祉」という言葉の語源をたどります。
「福」も「祉」も、どちらも「幸福」や「しあわせ」を意味する漢字です。
つまり、福祉とはひとを「しあわせ」にすること。
これはよくいわれる定義ですが、
でも「幸福」とか「しあわせ」なんて主観的なものを
他者が提供できるかというと、そんなことはありえません。
場合によっては意思の疎通もできない被援助者に対して、
「しあわせ」を提供するなんて、ある意味、思いあがりですよね。
この利用者はこうしているときが一番しあわせなんだ、
この利用者にはこういったケアで接しないと不幸になる。
・・・そんなことはありません。幸せかどうかは本人が決めるものです。
援助者が考える幸せを利用者に押し付けていないですか?
英語で福祉は?その語源を見る
それでは英語で見てみましょう。
「福祉」を英訳すると「welfare」という言葉が当てはまります。
この「welfare」という言葉は造語であって、
「well=よく」という言葉と「fare=生きる」という言葉が合わさってできた言葉です。
単純に、「よく生きる」という意味になりますが、
では、「よりよい生きかた」とは何でしょう。
「よい」という言葉は非常に抽象的で、
議論が大きく分かれるところだと思われます。
いい生き方って何?これも人が決めるものじゃないですし、当然援助者が決めるものではないですよね。
私見
ということで、
残念ながら解答はありません。
福祉というものがそれだけ新しい概念であり、
議論されてこなかったということではないかと思われます。
みなさんで考えて、自分なりの「福祉論」を持ってください。
自分は「福祉」とは「感じること」だと思っています。
相手の声に耳を傾け、時としては声にならない声に耳を傾けていくこと。
何を求めているのか、何が必要なのか、何が苦痛なのか。
それを解決するための行動ではなく、
理解し、何ができるかにつなげていくことではないでしょうか。
そこに至るまでのプロセスを含めたものが「福祉」です。
みなさんが何気なく訪問しているお宅にも
サービスを依頼するに至るまでの様々なプロセスがあり、
なぜ必要になったのかはそれぞれの事情が異なります。
掃除をすることがケアなのではなく、食事を作ることがケアなのではなく、
利用者にとって何が必要なのかを理解していくことだと思います。
あくまで私見ですが。
弱者救済との違い
ただ、勘違いしている人がいるかもしれませんが、
「福祉」とは「弱者救済」ではありません。
相手が「弱者」だからサービスを提供しているのではなく、
その人にとってサービスが必要だからサービスを提供するということです。
そのことについてはまた次回に。。。
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