ホームヘルパーは、もらえる?もらえない?新型コロナウイルス慰労金。

介護従事者等への慰労金とは
新型コロナウイルス感染対策への支援
新型コロナウイルス感染拡大に伴う緊急包括支援事業が実施されています。
事業の内容は介護分と医療分に分かれますが、介護分に関しては、このような目的で実施されています。
介護サービスは高齢者やその家族の生活を支え、高齢者の健康を維持する上で不可欠なものである。
今後は、介護サービスが、新型コロナウイルスに感染した場合の重症化リスクが高い高齢者に対する接触を伴うサービスであるという特徴を踏まえ、最大限の感染症対策を継続的に行いつつ、必要なサービスを提供する体制を構築する必要がある。
このため、感染症対策に必要な物資を確保するとともに、感染症対策を徹底しつつ介護サービスを継続的に提供するための支援を導入する。
また、新型コロナウイルスの感染防止対策を講じながら介護サービスの継続に努めていただいた職員に対して慰労金を支給する。
さらに、サービス利用休止中の利用者に対する利用再開に向けた働きかけや感染症防止のための環境整備の取組について支援を導入する
新型コロナウイルス感染症緊急包括支援事業(介護分)実施要綱より
感染症対策を行い、必要なサービス提供を継続できるように、緊急包括支援事業が行われています。包括支援といっても地域包括支援センターのことじゃありません。

この緊急包括支援事業のなかには、介護保険事業所が感染対策に費やした費用の助成を行ういわゆる「かかり増し助成」や、サービス利用再開に向けて働きかけを行うことで支給される「サービス利用再開支援」などがメニューに組み込まれています。
この中で、ホームヘルパーとして現場で働く皆さんに特に注目していただきたいのが、「介護サービス事業所・施設等に勤務する職員に対する慰労金の支給事業」です。
慰労金の支給事業とは
この慰労金の支給事業について、要綱から解説します。
事業の概要から紹介します。
介護サービス事業所・施設等に勤務する職員は、
①感染すると重症化するリスクが高い利用者との接触を伴うこと、
②継続して提供することが必要な業務であること、及び
③介護施設・事業所での集団感染の発生状況を踏まえ、
相当程度心身に負担がかかる中、強い使命感を持って、業務に従事していることに対し、慰労金を給付する。
新型コロナウイルス感染症緊急包括支援事業(介護分)実施要綱より
この慰労金は、~してくれたらお金を給付するよ、という条件付きの給付金とは違います。国から、業務に従事したことに対して労をねぎらうために支払われる慰労金という性格を持っています。
ホームヘルパーはもらえるの?
さて、本題。
ホームヘルパーはもらえるの?という質問ですが、結論から言えば条件を満たせばもらえます。
対象者は以下の通りです。
支援対象者
(ア)慰労金の給付対象となる職員は、(I)及び(II)に該当する者とする。
(I) (1)①アの介護サービス事業所・施設等に勤務し、利用者と接する職員 ※ ただし、介護予防・生活支援サービス事業の事業者であって、当該地域における緊急事態宣言発令中に市町村からの要請を受けて業務を継続していた事業所については、対象となる。
(II) 次のいずれにも該当する職員
① 介護サービス事業所・施設等で通算して 10 日以上勤務した者
※ 「10 日以上勤務」とは、介護サービス事業所・施設等において勤務した日が、始期より令和2年6月 30 日までの間に延べ 10 日間以上あることとする。
※ 「始期」は、当該都道府県における新型コロナウイルス感染症患者 1 例目発生日又は受入日のいずれか早い日(新型コロナウイルスに関連したチャーター便及びクルーズ船「ダイヤモンドプリンセス号」患者を受け入れた医療機関等の所在地の都道府県においては、当該患者を受け入れた日を含む。)とし、第1例目発生日が緊急事態宣言の対象地域とされた日以降の都道府県、又は第1例目発生がなかった都道府県においては、当該都道府県が緊急事態宣言の対象地域とされた日とする。
※ 年次有給休暇や育休等、実質勤務していない場合は、勤務日として算入しない。② 慰労金の目的に照らし、「利用者との接触を伴い」かつ「継続して提供することが必要な業務」に合致する状況下で働いている職員(派遣労働者の他、業務受託者の労働者として当該介護サービス事業所・施設等において働く従事者についても同趣旨に合致する場合には対象に含まれる。)
(イ)慰労金の給付は、医療機関や障害福祉施設等に勤務する者への慰労金を含め、1人につき1回に限る。
新型コロナウイルス感染症緊急包括支援事業(介護分)実施要綱より
こちらの記事にも書きましたが、慰労金の対象者は対象期間内に10日以上利用者と接する業務に従事した人です。
もちろん、訪問介護事業所のホームヘルパーも含まれます。

10日間勤務のカウント方法
対象期間内に10日以上勤務した人という条件になっていますが、このカウント方法について簡単に説明します。
その都道府県で最初の感染者が出た日・もしくは全国で緊急事態宣言が発令された日からカウントし、6月30日までの間で10日間の勤務があったかどうかがポイントになります。
全国で緊急事態宣言が発令されたのが4月16日なので、4月16日から6月30日までに10日間勤務ということであれば、週1回しか勤務していないパートのホームヘルパーでもほとんどの方は条件を満たし対象になるでしょう。
家事援助しかしていないけど、対象になるの?
家事援助(生活援助)の仕事しかしていなくて、身体介護の仕事をしていないけど・・・。という場合も対象になります。
何をしたかではなく、利用者と直接接しているかどうかがポイントです。
複数の事業所を掛け持ちで勤務している人は勤務日数を合算することができます。
ホームヘルパー以外にも、事務のスタッフでも集金や来客相談対応など、利用者と実際に接する業務をしている人は対象となります。介護従事者だけでなく、対象を幅広く設定しているのが特徴ですね。
慰労金の申請方法について
慰労金の申請は事業所を運営する法人ごとに一括して行います。規模の大きな法人だとすごい人数分を申請することになりそうですけど。

事業所は、慰労金の支給事業だけでなく、かかり増し経費や感染対策費用などの助成などもあわせて申請をします。
「事業所が慰労金の申請をしてくれない!」という苦情が続出しているようです。

正直なところ、事情は分かりませんが、事業所には申請しないことのメリットは一切ないです。
他のかかり増し経費などの申請と一緒にするために、慰労金の申請を後回しにしている事業所は多いと思います。ただ、働く身としては少しでも早く慰労金をもらいたいですよね。
また、都道府県によって慰労金の申請開始時期が異なるので、他の都道府県では申請受付していても、まだ開始していない地域だという場合もあります。
一番考えたくない可能性としては、法人が慰労金を黙って申請して職員に渡さずに懐に入れてしまうパターンですね。そんな可能性もあるので、本当は事業所を通すべきではないと思うんですけどね。
事業所が支給申請をしてくれない、という場合は都道府県に直接申請することができます。入金される銀行口座の写しや本人確認書類が必要です。また、確認が必要になる場合もあるので、勤務していたことを証明できる書類などがあれば(給与明細など)必ず保管しておきましょう。

慰労金の支給額は5万円か20万円
慰労金の支給額は5万円か20万円です。
イ 支援額
① 利用者に新型コロナウイルス感染症が発生又は濃厚接触者である利用者に対応した介護サービス事業所・施設等に勤務し、利用者と接する職員
(訪問系サービス)実際に新型コロナウイルス感染症患者又は濃厚接触者にサービスを1度でも提供した職員 1人 20 万円を給付
(その他の介護事業所・施設)実際に新型コロナウイルス感染症患者又は濃厚接触者が発生した日(※)以降に当該事業所・施設で勤務した職員 1人 20 万円を給付
※患者については症状が出た日、濃厚接触者については感染者と接触した日 ・ それ以外の職員 1人 5 万円を給付
② ①以外の介護サービス事業所・施設等に勤務し、利用者と接する職員 1人5万円を給付
新型コロナウイルス感染症緊急包括支援事業(介護分)実施要綱より
訪問介護で働く人は訪問系サービスに該当するので、
・実際に新型コロナウイルス感染症患者又は濃厚接触者にサービスを1度でも提供した職員 1人 20 万円を給付
・それ以外の利用者と接する職員は1人5万円
となります。
5万円の対象者の方が圧倒的に多いと思います。特に対象期間が6月30日までに限られてしまうので、それ以降に新型コロナウイルス感染者や濃厚接触者へのサービスを行ったとしても20万円の対象にはなりません。
慰労金はいつもらえるの?
慰労金が実際に手元に届く時期は都道府県によっても異なります。
実際に申請をしてから一か月以上はかかると言われています。8月に申請をできたとしても、どんなに早くても11月くらいになるのでしょうか。
事業者に入金され、事業所から配布されるのを待ちましょう。
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